最期のひとこと

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朝5時過ぎに起きて桃子のお弁当を作って 桃子が出かけるのが7時前。 それからパパと二人の朝食を作る。 「ママ、朝ご飯は昔みたいに目玉焼きとパンケーキとコーヒーにしてもらえるかな?」 「うん」 結婚したての頃、毎日がこのメニューだった、 週に一度の和食の日以外は。 「15年前…思い出すよね」 「そうだね。桃子も大きくなって」 「生意気になったけどね…」 そして朝ご飯が済んでベッドの前の特等席に 車椅子を移動させ好きなレコードを かけながらうたた寝をするパパ。 「これ何て歌だったっけ?」 「WHAT A WONDERFUL WORLD」 「結婚したての頃よく聴いたよね」 穏やかで静かな時間の中、戻って行く『時』。
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