103人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
眩ゆいばかりの陽射しが今にも
差し込みそうな朝を目の前にして
桃のブログを読み終えた。
わたしには知る術もなかった
桃の気持ちを初めて知らされた後も
夢遊病のような感覚の中で
隣の部屋から漏れてくる物音で
現実の世界に引き戻される。
急いで下に降り桃子の朝食とお弁当の準備に取り掛かる。
基本的にうちの朝食は
トーストとミルク。
「おはよ、ママ」
「あ、おはよ。お弁当すぐできるから」
「いいよ、ゆっくりで。遅刻くらいなんてことないし」
昨夜のタラタラの残りを頬張りながら
スマホをいじる。
お弁当を詰め終わった時、
鳴り出したアタシのスマホ。
「ごめん、桃子、ママのスマホとって」
「うーっす」
「返事!」
「はい」
少しの期待。
そんなはずはないってことは分かってても…。
スマホを見ると
ーー笹井健介ーー。
少しだけ緊張した。
最初のコメントを投稿しよう!