失踪

5/20
103人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
ーー桃! ーーよぅ、麻里子、夏実は? ーー一緒じゃねえのか? ーーうん…そのことで桃に話したいことあって。 ーー何だよ、神妙な顔して。 ーー桃…夏実のことどう思ってんの? ーー分かってるだろ。 ーーふざけないで!まじめに聞いてんだから。 「いつもの麻里子じゃなかった。いつもなら笑って俺の頭を叩くのに…」 ーー好きに決まってんだろ。でも…夏実、俺のこと最近無視してるし…嫌われたかな。 ーー夏実だってまだ桃のこと好きなんだよ。でもこの前、『アタシと桃じゃ身分が違いすぎるから桃とはもう会えない。会っちゃダメなんだ』って泣いてた。 「何が身分だよ、って思った」 ーー何だよそれ!今は平成なんだぜ!江戸や明治じゃあるまいし。 ーーでもアタシや夏実はバカ女で、桃はラサールじゃん。 ーー勉強ができるってだけだろ?足が速いとか野球が上手いとか、それと同じことだろ。 ーーでもそれだけじゃないよ。
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!