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初めて健介さんがお店で酔い潰れた日に
聞いた言葉ーーー
ーー伊織…行かないでくれ。
わたしの手を握りそう言った。
無意識に言った言葉の意味が分かったのは
桃子を病院に連れて行くのに
三日続けて休み
ーーそんないい加減な気持ちで仕事されても困るんだよね。明日からもう来なくていいから。
ーー待って下さい!働かないと生きて行けないんです!ちゃんと頑張りますから。
ーーダメダメ!もうアンタいらないから。迷惑なんだよね。
って店をクビになり途方に暮れて
桃子をおぶったまま駅のホームで
じっと線路を見つめてた時だった。
ーー二胡巣行きの列車、まもなく三番ホームに入ります。
というアナウンスが『地獄行き』って聞こえた、
列車がホームに入りわたしが立ち上がった時
『モモちゃん?』って声に振り返ると
パパがそこには立っていた。
「モモちゃん…」
「もう今は…夏実です。相川夏実です」
「ホントの名前」
「夏実ちゃん…君がもし嫌じゃなかったら僕の家で一緒に暮らしてくれないだろうか」
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