失踪

14/20

103人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
過去の波間を漂いながら ベランダですぐ目の前に降り積もる雪を 目で追い桃子を待つ時間が 限りなく遠いものに感じた。 夜中の1時が過ぎ… 2時、3時… 4時過ぎからは暖炉の前のソファで 12杯目のコーヒー。 ーー帰って来てよ…桃子… ーーあなたはパパとママの子供なんだから。 朝6時過ぎ… 外が白み始め それまで閉ざしていたカーテンを開けて 桃子も好きなパンケーキを焼き始めた。 その時だった。 門の前にキキっと音を立てて 一台の車が停まり 小走りに窓から外を見ると 車から桃と桃子が降りて来た。 桃子は下を向いたまま顔を上げない。
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加