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過去の波間を漂いながら
ベランダですぐ目の前に降り積もる雪を
目で追い桃子を待つ時間が
限りなく遠いものに感じた。
夜中の1時が過ぎ…
2時、3時…
4時過ぎからは暖炉の前のソファで
12杯目のコーヒー。
ーー帰って来てよ…桃子…
ーーあなたはパパとママの子供なんだから。
朝6時過ぎ…
外が白み始め
それまで閉ざしていたカーテンを開けて
桃子も好きなパンケーキを焼き始めた。
その時だった。
門の前にキキっと音を立てて
一台の車が停まり
小走りに窓から外を見ると
車から桃と桃子が降りて来た。
桃子は下を向いたまま顔を上げない。
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