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桃を玄関先まで見送り
新聞受けから新聞を取って台所に戻ると
桃子がコーヒーを二人分淹れていた。
「今日はママがパンケーキ担当」
と笑顔を見せる。
それでも昨日までの屈託の無い笑顔じゃなく、明らかに無理をしている…アタシと同じ笑顔。
パンケーキができて
二人食卓に向き合って食べても
ぎこちない空気の流れに
身をまかせるしかなかった。
「ママがね…昔よく行ってたファミレスでも食べたよ」
そう下を向いたまま声を詰まらせた桃子。
「今日のパンケーキ…涙味」
「でもね…今までで一番かも」
「うん…」
少し話すとすぐにいなくなっていく言葉たち。
少し食べると微かにしょっぱくなるパンケーキ。
「ごめんね…桃子。こんなママで」
「ごめん…ママの気持ちも考えないで…」
そして食べ終えると後片付けする事もなく
二人で同じベッドで眠る。
それでもなかなか寝付けない。
わたしも…
そして桃子も…。
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