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どこでどう狂ったんだろうな。
俺たちを乗せた列車のスピードが
どんどん速くなり
真っ二つになって
いつしか見えなくなった。
あの夜、俺が夏実に「タバコくれよ」って
言ったの覚えてるか?
俺は高校もやめて、お前と、夏実と
生きて行くって
そう決めて公園に行ったはずなのに
結局何一つ言えずに
夏実は初雪に連れ去られた。
「夏実のことが好きだから俺と生きていこう」って、この言葉ひとつが言えなかった。
何年、夏実を探しただろう。
何年、夏実を思い泣いただろう。
悔しくて悔しくて…
夏実に何一つ言えなかった自分が。
中学の頃まではあんな日が来ることなんて
想像すらできなかったのに。
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