つむじが暴かれる

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「普段は、何か手入れされてますか?」  不意に店長から尋ねられる。眠気で頭がうまく働かず何のことかわからなかったが、髪のことだと数秒して理解した。 「いえ…普通にシャンプーとリンスです」 「真っ直ぐでハリのある髪ですね。ワックスやジェルは使ってますか?」 「ああ…毎日ではないですが、たまには」 「なるほど。恐らく、いつも髪型が定まってるように感じられるので、たまに分け目を変えたりしてみると良いかと思いますよ」  そう言って、店長は俺のつむじの辺りをワシャワシャし、髪の流れを不規則な感じにさせた。  ああ、つまりそれは…つむじから禿げやすくなるぞという…  俺は、自分の自意識過剰ぶりに、いたたまれなくなりそうだった。
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