つむじを暴かれる

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つむじを暴かれる

 理髪師を、死神と表現していた本があった。 「不気味な黒い鋏を鈍く光らせながら、骸骨はひたすら人々の『つむじ』を暴く」 (クラフト・エヴィング商會『クラウド・コレクター』)  俺は、鏡に映る背後の男を眠気眼で眺めながら、頭の中ではその本の一節をぼんやり浮かべていた。  まさに今、俺はつむじを暴かれているようだ。
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