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・鼎狩とは?
キナイ市
日本のとある地域、都心の喧騒から離れつつも田舎と呼ぶには至らない。
そんな、地域にて年に数回ほど不定期に開催される祭、
それこそが通称「鼎狩(カナエガリ)」である。
一市民である四方乃鼎は、人の悪意に比例して変異、増殖するという謎の人物である。
彼女、彼らは本人の意思とは無関係に増え続け、それと呼応するようにとある「よくない儀式の準備」が整っていく。
気候、風土、星の位置により若干のズレはあるものの鼎達の数が一定数を超えると何かがおこるといわれている。
正確には、何が起きてもおかしくない場が出来上がってしまいとても危険である。
それを避ける為、キナイ市では、鼎が増殖する度に帳簿「カナエノート」に記録し、400人を超えたあたりで町の寄り合いを中心に「鼎狩運営委員会」を立ち上げ細かな打ち合わせを行う。
アドバイザー兼顧問役として「円成巴」、「鹿島真姫」が就く。
・どんな祭?
先に大雑把に説明すると、
1.鼎達に番号の書かれたハチマキを渡し寺に待機させる。
2.寺の鐘が3回撞かれると同時に400オーバーの鼎達が一斉に解き放たれる。
3.参加者達はあらゆる手段を用いて鼎を捕縛する。
4.捕縛した鼎には、印として捕縛した人の名前を書き込む。
5.捕縛した鼎は後程、きちんと下処理を終えたあと御呪いの触媒として利用される。
6.3〜5の手順を鼎が最後の1柱になるまで日中夜問わず行う。
・鼎狩、ここが難しい!
はじめに四方乃鼎は邪神とも噂される存在である。
故に一般社会の常識はまず通じない。
1.祭の最中でも増え続ける。尚、鼎達は人間と違い律儀な性格な為、その都度委員会に報告する。
因みに、捕縛された鼎はそれ以上増殖しない。
2.鼎は、物体をすり抜ける。壁や天井を歩く。首が一回転する。透明になる…など人知を超えているので捕縛には専門の技能、技術、道具が必須である。
3.事前準備が必須である。
祭の前日からスーパーやコンビニなどで清めの塩などが販売され、全国から一流、二流、本物、偽物、学者、住職といったゴーストバスターやらなんやらが雇われる。
最も、地元の実力者はこの日の為に普段から自前の道具を揃えている場合が多い。
4.捕縛に関しては、ある程度の経験があれば可能である。
が、その後御呪いの為に行う下処理は専門家でないと非常に難しくどうしても時間がかかってしまう。
その為、捕縛した鼎達を保管する容れ物が必要である。
簡素なものなら、「檻」
高位の専門家なら、「位牌」や「神棚」、はたまた水筒などを利用する。
・御呪いとは?
鼎とは、かつて生贄風習により亡くなった人柱の集合体である。
また、鼎自体は悪霊ではなく「現代人から漏れた負のエネルギーに呪われている被害者達の亡霊」である。
要は、他人の不幸オーラに纏わり付かれて本人も迷惑している状態なのだ。
鼎狩とはその傍迷惑な不幸オーラを鼎から取り除いてあげ、集めた不幸オーラを純粋なエネルギーに変換し、参加者達の運気を一時的に上昇させる祭なのである。
・キナイ市民とは?
鼎狩にかける思いは、「楽して痩せたい」、「モテたい」、「金持ちになりたい」などと様々である。
面倒ごとが嫌いな為に、手っ取り早く鼎狩で願いを叶えようと思うも…
神秘グッズの出費、
お経や禅の心といった特殊技能及び技術、
下処理にかかる手間と時間、
などなどを合わせると、
結局の所コツコツ真面目にやるのが一番だったりする。
その真実に気付きたくないというのが現状である。
実際、キナイ市では、鼎達が日本、世界、時には次元すらも越えて不幸をかき集める為、年中トラブルが頻発しているのである。
その為なのか、まともな神経の人はすぐに引っ越し。代わりにまともじゃない輩が転がり込んでくる。
治安悪化の原因は住民の質なのか、鼎の体質のせいなのか?
だが、治安の悪さとは裏腹に気さくで明るい人が大半である。
轢いた人間と轢かれた人間同士が惹かれ合うなどザラである。…これが禅の成果なのかどうかはさておき。
…稀に、初参加のルーキーがとんでもない記録を出すことがある。
そもそも、人間とは少なからず神秘を秘めており、何らかのキッカケで覚醒することがある。
例えば、恋に恋する青春爆発女子高生…とか、無意味な自信で天災の如く暴れ回るパンチパーマのオバさん…とか。
人はバカで無知なままでは生きていけないが、限界を破壊するのは、バカだったり無知な輩なのかもしれない。
・最後に。
鼎狩は年に約3回行われ、その成功率は約6割。
失敗の定義とは、鼎達の増殖スピードが参加者達の捕縛スピードを上回り、「よくない儀式の準備」が整ってしまう状態です。
儀式が行われてしまいますと、人々の願いに応じて「天変地異」、「デフォルト(政治)」など様々な不幸が訪れます。
そうなるまえに、「今回は、失敗した」とジャッジを下すのが、顧問たる「円成巴」と「鹿島真姫」の役目である。
ジャッジ後は、普段は旅に出ている「琴美八重」、人類未踏の暴力装置に来てもらい全てが灰燼とかすまで徹底的に暴れてもらいます。
キナイ市に溜まった「よくないもの」の全てを土地ごと薙ぎ払って頂くことで「最悪の結果」だけを回避してもらいます。
・余談
鼎達が4桁を超えた場合は?
琴美「……(無言)」
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