光が思い出した事

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光が思い出した事

【光は不思議な事を思い出していた。橋の所からトンネルが気になったが、母親は知らんぷりしていた。それはーー】 ✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎ 橋は古いのか母さんの車が通ると、 「カタカタ」と音がし、橋の脇には古びた文字で「アノ世橋』と書かれていた。 アノ世橋?ってあの世かな? 「母さんーーアノ世橋だって、キモイな」 母さんは俺が話し掛けても知らんぷりしてタバコを『プ〜』と、俺に吹き掛けた。 何だこの母親は。本当に憎らしいなあ。 橋を渡り行くとまた、変わった古びた短いトンネルが見えた。トンネル内には 「迷い(地獄)のトンネル」と、汚い字で書かれていた。 迷い(地獄)トンネルーーって何だよ! 何か有るな。 橋にトンネルーーアノ世橋に、迷い(地獄)トンネルーー何か意味があるのかな? 母さんに言っても無視されるからな。黙ってるか。 そのトンネルを抜けて少し走るとーーそこには寂れた古いお寺が見えて来た。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 母さんが 「そこだよ。光が住むのは。【万平寺】マンペイデラ」だと言う。 響きはマンビキ、にも似てるな。 「着いたから降りな」母さんが怒鳴った。 俺は車から降りないでゴネていた。 ドアの取っ手を握り有りったけの力を入れて強く押さえていた。 母さんが外から引っ張っているから力比べだ。 母さんは俺の力に負けて又車に乗り込んで来た。 「光、ここまで来たのに、男らしく親孝行をしろ、三年辛抱したら萌さんに会わせてやる。だから早くしな!」 「三年辛抱したら?萌に彼氏ができない保証は無いよ。だいたい三年間なんて辛抱出来ないよ。俺は三日坊主だよ。ーアハハ、本当に三日もたないな。母さん達は何か隠しているんだな」 「早くしろ、隠してる話を住職さんから直接聞きなよ。挨拶をきちんとな。行くよ」 寂れた寺だなあ。 門の文字が消えかかっている。 幽霊屋敷みたいだ。 「母さん、スマホを返してよ」 「ああ〜母さんが寺から帰る時にな」 しかし〜しつこいなぁ。スマホがなきゃ萌ちゃんに電話出来ないじゃんよ。 あっ!しまった。 萌ちゃんの電話番号は知らないんだっけ。 母さんが寺の門をくぐり住職の家に歩いて行った。 俺は全くやる気が無いから住職とやらに無謀な話をしてやろうと考えていた。 例えばーー父さんはヤクザの親分だからね。俺はその子供でさ、古い寺なんかぶっ壊してやる。 そう言うんだ。まさか、そう聞いたら、 住職さんは俺に頭にきて 《坊さんの話は無かった事にするか!》 こうなれば良いなぁ。 アレ?寺の入り口のお地蔵さんに手を合わせている若い女の子がいる。 寺の信者だな。 でも綺麗な人だなぁ。 歳はハタチ前かな? 母さんに話した。 「母さん、可能性を考えれば少し親孝行をしたくなった。坊さんは嫌いだけどーー好きな事を見つけて日々明るく暮らすよ」 母さんは俺を見て、頭に手を乗せた。 「熱でも有るのかな?あんなに坊さんは大嫌いだと言っていたのに。ただの気まぐれか!」
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