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その時、緊急警報がけたたましく鳴り響いた。自動的にスクリーンの画面がつき、この世界の平和が侵されたことをニュースで告げている。
ビーッ、ビーッ、ビーッ……
人々が、逃げ惑っている。自分もどこかへ逃げなくてはと思いながらも、その先が分からない。少女は、この温室から一歩も外へ出たことなどないのだから。
バタンッ!!
一度も開かれたことのなかった扉が、乱暴に抉じ開けられた。途端に、冷たい強風が少女の頰に吹き付け、髪を掻き乱す。少女は手を頰に当てた。
冷たくて、気持ちいい……これが、『ひんやり』なの?
目の前では、本の挿絵でしか見たことのない、動物の毛皮を身につけた男が叫んでいる。
「これからは俺たちがこのシェルターの支配者だ。お前たちはここから出て行け!!」
言われるがまま扉の外に出た少女が見たのは、一面の銀世界。地球は、6度目の氷河期を迎えていた。
足を踏み出すと、ジンと神経が震え、体が硬くなった。
これが、雪。『ひんやり』。
少し、怖い……
そう感じた瞬間、「せいぜい頑張って生き抜けよ!」その声とともに、扉が勢いよくバターンと閉められた。
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