【祠の子】の名前

2/10
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
白の七分袖シャツの上にネイビーの和式カーディガンを纏う。 ワイン色のワイドパンツを着て青色のエターナルリーフサンダルを履くその姿は、 神社の神主さんのオフみたいな、とにかく目を見張るほど美しかった。 すると、 『おっ ...可笑しいか...?』 どうやら自分は似合っていないと思っているらしい。 照れたように自分の服装を見る姿はどこか可愛げがあった。 「着替えた方がいいって言ったのは自分でしょ?」 からかうように彼に問いかける。 『それはそうだが...』 困った様に照れる彼を見て自然と笑みが溢れた。 「ふふっ...とっても似合ってるよ。カッコいい。」 ニコッと微笑むと、彼は数秒間私を見てから 『ふふっ...』と笑って、 子供のように無邪気に笑って返した。 『ありがとう...!燐。』 「...っ!!」 本人は無意識のようだが無邪気な笑顔に不意を突かれた。 【祠の子】は普通にイケメンだし...、そもそもなぜ彼は私の前でこんなに笑ってくれるのだろう? ...でも、彼が笑ってくれるならどうでもいい気がした。 「行こっか!」 私が笑いかけると、まるでいつもの当たり前のように 『うん。』 笑って返してくれる。 私は彼...【祠の子】が好きなのかもしれない。 でもその気持ちを伝えられる気はしなかった。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!