紅燐と燐「母の日記」

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紅燐と燐「母の日記」

住宅街の一角にある木漏れ日が差し込む公園でひとりの男の子と女の子が高い笑い声を上げて遊んでた。 女の子の名前は燐。 とても優しく、人思いで不思議な力を持つ子。 男の子の名前は紅燐。 ...生まれてくるはずのなかった子。 この子達は兄妹で、 兄の紅燐と妹の燐はとても仲がいい。 ...だけれど、兄の紅燐は人では無い。 戸籍も一応在るけれど、自治体と祓い屋、寺や神社の人達で隠蔽と工作などを行っている。 何故なら紅燐は«茜ノ社»の神、赤ノ神...赤ノ神燐堂風純であり神妖であるから。 紅燐は水子だ。 私のお腹の中で死んでしまった。 それがこうして目の前に妖怪...神妖兼神様としているのだから驚きだ。 たまに恐怖心を抱く時もあるが、燐の優しさは兄譲りなのか、紅燐はとても優しかった。 しかし、神様である以上は神社での祭り、寺の棒祷等には出席せねばならない上、 扱いも丁重過ぎて逆に本人も疲れているようだ。 それに加えて神妖神(しんようしん)でありながらも子供である為、 悪い気や、悪鬼にはめっぽう弱かった。 その度に寺や神社でお祓いや、信仰を使った回復などを行っていた。 理由があるとはいえ、紅燐...この子は手放したほうが良い。 春輝に関しては忙しさや多頭な理由があり神払いなどと言った事を言い出す程精神的にやられてしまっている。 あとはお寺や神社の人達に任せよう。 ごめんね。 紅燐...。 守ってやれなくて...一緒に居てあげれなくて...。 どうか...どうか燐を護って上げてちょうだいね。 ごめんなさい。 紅燐。 大好きよ。私の大切な我が子。 ...紅燐。
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