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【祠の子】の名前
「紅燐ってだれ...?」
屋上のドアを開けると、階段を少し降った所に燐が居た。
立ち聞きされたか...。
似たような事を考えて悲しまない様にするのは何故だろう。
忘れるなんて当たり前だし、慣れているのに、どうしてこんなにも苦しく悲しいのだろう。
自分のことを忘れる為か、彼女が悲しまないように優しく悲しい“うそ”をついた。
『神々しく由緒正しき誠実なる真の神のお一人だよ。』
「......?」
そう言う彼は何処か寂しげででもいつもと変わらないような優しい顔つきでこちらを見つめた。
...目のハイライトが一瞬消えたように見えた。
『...さあ、今日はパーティーなんだろう?子供らしく楽しみなさい。』
急に振り払うかのような彼の言葉にムカっとした私は、
勢いで彼の右腕を掴み、階段を下ってパーティー会場へと半ば強引に引っ張っていった。
『ちょっ...ちょっとまって...!』
「...何よ......。」
少し慌てたように彼は言う。
『こっ...この格好は場違いだよっ...。』
【祠の神の子】でもそれくらい分かるよと言いたげな表情をしていた。
「私も赤白だから大丈夫。」
『そうじゃないでしょっ...僕は和服、君は洋服。.......分かるよね...!?』
「...とにかく行くよ。」
『えっ...?ちょっ、まっ...』
彼があんまりにも今の格好で公に出るのを拒絶する者だから母が営む美容院へと向い衣装を合わせた。
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