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説明会当日。
「ごめん。寝坊しちゃった。」
と言いながら不二が合流した。
「…遅い…。最初に来たユキは一時間半くらい待ってる。」
林檎がそう呟く。
「まあ、柳は集合時間の一時間前には来てたからね…。」
一条はちょっと呆れたような声だ。電車の時間の都合があったから仕方ないんだけど…。
「ごめんね、六花ちゃん。」
「私はあまり気にしてないから大丈夫。」
一応そう返しておいた。
「揃ったし行くか。」
そう言って三又が歩き出す。開始時間まで十分な余裕はある。私達はそれに続いた。
説明会会場。
大きな会場には結構な人数が集まっていた。ざっと500人前後だろうか。この辺境にしては良く集まった方だ。
時間になり壇上に男性が一人現れる。
「わぁ、結構イケメンさんだぁ。」
不二がそう呟く。その後ろで控えている女性も美形だ。
「お待たせしました。ゲームの説明の前に今回のゲームの出資者である横島財閥の横島会長より挨拶があります。」
その言葉を受けて壇上に一人の老人が登る。
「諸君、時給10000円は本当だ。横島財閥の名の下に保証しよう。」
老人の第一声はそれだった。
半信半疑の者が多かったのか、ざわめきが広がる。老人は今回の出資の経緯等を説明していたが、きちんと聞いている者はあまりいないようだ。
ざわめきが完全に鎮まらない内に老人の話は終わり、最初の男性が話を始める。
「皆様お静かに。ゲームについての説明を始めます。」
プレイするミニゲームはガンシューティングゲームのようだ。敵が人間で結構血とかも飛び散る仕様らしい。わざわざ十八歳以上と書いてあったのはその辺りが原因だろう。
そういうのが駄目な人もいるだろうからそういう人は説明会の時点で辞退しても構わないとの事だった。辞退した場合は最終日のアンケートが免除される事も説明された。
一通り説明が終わった後六人で集まった。
「な、言った通りだっただろ。」
「一日十時間として三十日間フルなら300万、いや今日は十時間ないから今日の分は他の日で補って…」
「シューティングかぁ。あんまりやった事ないから楽しみだなぁ。」
三又・五味・不二は参加する気満々のようだ。
「今検索かけてるけれど完全に新規のメーカーみたいなのよね。情報が全く出てこないところを見ると下手したら存在してない可能性すらあるし…。」
「…さっきの会長の挨拶も後半部がえらく空虚に感じた。最初の時給の話で皆の集中力を削いで後半の穴から目を逸らそうとしていたかのような…。」
対して一条と林檎は乗り気でなさそうだ…。
「…ユキはどうする…?」
林檎の問いを受けて乗り気な三人の様子を窺う。…三人とも警戒の色はないようだ…。
「…あの三人が心配だから、一応私も参加して変な事にならないように気を付けておこうと思うけれど…。」
「分かったわ。じゃあ、何か異変があったら私か四葉に報告して。携帯を預かられた場合に備えて私の予備を渡しておくから。」
「ユキ、任せた。」
一条に渡された携帯を自分の携帯と別の場所に仕舞う。携帯番号やメールアドレスは手帳に書き残しているので問題ない。
最終的に説明会参加者の二割程度が辞退したようだ。私を含めた残り八割程度がゲーム機を置いてあるというテストプレイ用の部屋に向かった。
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