ゲーマー募集~ゲームのテストプレイのお仕事です。時給10000円~

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 それから三十日程度。 結論として最終日まで不審な事は特に起こらなかった。 ゲームの難易度はそこまで高くなく、初心者である不二がそこまで苦労せずにクリアできる程度。 但しパーフェクトはなかなか出ないようだった。 雑魚敵は簡単に倒せるのだが偶に強敵が混じっているのだ。強敵のタイプは様々で、雑魚敵に慣れたプレイヤーの裏をかくように動く者、トリッキーな動きでこちらを攪乱してくる者、雑魚敵を統率し集団戦を仕掛けてくる者等…。ゲーム内のミニゲームである事を考えると頑張っているのではないだろうか。 あと敵を撃った時に飛び散る血はかなりリアルな赤色で少ししたら消えるとはいえ、青少年の教育には良くなさそうだった。 私と不二は時間がある時に参加する程度だったが、男性陣二人は結構がっつり参加したようだ。最後の方はかなりぐったりしていた。 一条と林檎にはこまめに状況を報告している。 二人の共通見解としては最終日のアンケート時に何かがあるか報酬支払いが行われないかのどちらかではないかという事だった。 「可能性が高そうなのは後者かしら。説明会の三人はゲームを制作している会社とは関係のないバイトでしょうね。横島会長はあまりメディアに顔を出さないからその気になれば成りすましも可能でしょうし…。」 「…会社の名前は架空のもので、ゲームはプロトタイプとか別バージョンとかが渡されているんじゃないかな。データを採って改良した時あまりそっくりだと参加者にばれる可能性が高いから…。」 まあ、報酬が支払われない程度なら三又と五味の苦労が水泡に帰すくらいで特に支障はないだろうが…。 念の為警戒しながら最終日のアンケートを書くも特に何もなく後に残るは来月五日に報酬が振り込まれるかという程度の懸念。 迎えに来ていた一条・林檎と合流し、駅に着いた時忘れ物に気付いた。定期入れを仕舞い忘れていた。 他の五人にその事を伝え、解散後定期を取りに戻るべく私は元来た道を引き返した。
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