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僕は一度あるカラスの知能テストの動画を見たことがあった。そのテストは、まずカラスの嘴が入る程度の透明な管に、水と水に浮く餌を入れる。もちろん餌は水に浮いた状態で入っている。水は上手く調整して、カラスが嘴を突っ込んでも、あと少し餌に届かないようにしてある。そのためこの状態では、カラスは餌を得ることができない。然し、周りにはその管に入る大きさの石ころが置いてある。要するに、その石ころを管の中に入れ、水位を上げれば餌を得ることができる仕組みとなっているのだ。
――そこへ一羽のカラスを連れてきた。カラスは、管の中にある餌を見つけると、管に近づきさっそく嘴をつっこんだ。然し、何度やっても餌に届くことは無い。そのため直ぐに、自分の嘴の長さでは届かないことを悟ったカラスは、辺りを見渡して何か使えそうなものを探し始めた。
辺りには丁度いい大きさの石ころが置いてある。それに気がついたカラスは、すぐさま石ころを咥えて、それを管の方へ持っていった。――するとなんと驚くことに、その石ころを器用に管の中へ落としはじめたではないか。ひとつ入れては嘴をつっこみ、またひとつ入れては嘴をつっこんだ。
そうしてとうとう水位が嘴の届く高さとなり、そのカラスはめでたく餌にありつけることに成功した。
ここでさらに驚くべきことは、その後に行った横に太い管と横に細い管を並べたテストを行った時(もちろん両方に餌が入っている)、最初太い方に石ころを入れていたカラスは、餌の上がる様子を見て、太い方は中々水位が上がらないことを知るや否や、目標を細い方の管に変え、見事に餌を捕ったことだった。
さらにその後のテストからも分かる通り、明らかにそのカラスは水位の変動を横から見て確認しながら石ころを入れていた。
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