青空

Prunus avium

そう冷静にマネが呟くと、灰色のなにかが会議室の扉を強引にこじ開け、中まで入ってきた。すると灰色のそれはやっと見つけたかの如く、いきよいよく仰向けで寝ているグースの方へとその根の末端を突き刺した。そしてその突き刺したところを目印に、ペルソナ界全体に巡らせていた根全体を一気にグースの方へと流していった。マネはすぐにコンサ、アクト、インジュリーの３人に、それを阻止するようにと指示を出した。しかし急のことであったためか、いや、後からマネが言うにはいずれこの日が来てもおかしくなかったそうなのだが、しかし意外にも早く訪れたため、３人の必死の抵抗虚しく、灰色はその全体を完全にグースの中へと入っていってしまった。

寝ていたグースの肌は灰色に変色し、充血した目は血の涙を流し、ゆらりと立ち上がった。

　不味い

そうマネが呟いた瞬間、グースは鼓膜が破れるほどの甲高い悲鳴をあげ、会議室、いや、ペルソナ界全体を灰色へと変色させた。

おぎゃーーーーーーーーだがだがばあばあ、おぎゃーーーーーーーーーじゅるじゅるぶんるん

それに触れたインジュリー、コンサ、アクト、そしてマネの身体は石のようになり固まった。それからさらに目から真っ赤な血を垂れ流しているグースが再び悲鳴をあげると、今度は灰色の砂嵐のようなものがペルソナ界全体を飲み込んだ。

おぎゃーーーーーーーーだがだがばあばあ、おぎゃーーーーーーーーーじゅるじゅるぶんるん

ごごごーっと鈍い音をたてながら砂嵐が渦を巻きはじめた。そしてその中心には、悲鳴を不規則にあげてはやめ、あげてはやめるグースがいた。