ⅢーⅡ

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 一時間も話すと、エネルギーの塊である高校生もさすがに疲れてくる。会話の休符がだんだんと長くなってきた。そうして、ちょっと変な()が空いた。――ふとまつむが口を開いた。 「――実は、俺、別れた。彼女と。」 「は――。」 僕は急に出たその重たい言葉に閉口した。然しまつむは僕にお構いなく話しを続けた。 「一月の中旬くらいに別れた。センター試験くらいの時かな。」 まだ驚きを隠せない僕は、センター試験というワードだけを掴んで、 「受験の、ために?」 と慎重に聞いた。 「表向きはね。でも本当は喧嘩して、それで別れた――」 僕はまた閉口した。どう返していいのか分からなかった。慰めればいいのだろうか。然し、僕等の間柄で慰めるのは、少し変だ。僕は頭を回してた。けれど時は待ってくれない。  これ以上、()は空けなかった。  「よし、受験勉強がんばるぞー。」 僕は空元気にそう言った。そしてまつむの表情を見る――。  まつむはしょげた顔を戻して、笑って「なんやそれ」と返した。僕はそれを確認して、安心して、再び「受験がんばるぞー」と拳を上げた。「よしゃー」とまつむも声を張ってそれに応え、拳を上げた。僕はよかったという安心感と同時に、何故だか頭上のミツメの目線が気になった。名の知らない草の茎が、風に乗って、僕の足元で止まった。
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