3日目

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3日目

「おはようっ」 少しはしゃいだような声の真夏が起こしにやってきた。 「今日は午後から台風が来て海が荒れるっぽいよ、遊ぶなら午前中!ってことで遊ばない?」 人生で初めてデートに誘われた。と感じてしまうのは経験がないからであって実際は本当にただ遊ぶだけなんだろう。 「残念だけど俺は今日も1日バイトです。」 端的にそう言うと俺は渋る真夏を部屋から追い出して身支度を済ませた。 海の家の方に行くと既に開店の仕度を終えたオーナー夫妻が迎えてくれた。 「おはよう、島田くん。朝ごはんはどうする」 正直今日はあまり食事をする気になれない。せっかくの好意を申し訳ないと思いつつも断り、その代わりにアイスコーヒーをお願いする。 注文が入ってから豆を挽くオーナーこだわりのコーヒーを楽しんでいると手伝いの格好になった真夏がやってきた。 「お兄さん、朝はコーヒーだけですか。なんだかとても憂鬱そうな雰囲気ですね。」 真夏の目に俺は憂鬱そうだと映っているらしい。死神に言えないだけマシなのではないだろうか。 午前9時、雲一つない快晴と共に海の家の営業が始まった。日曜日、いよいよ夏休み本番ということもあり人の量は昨日、一昨日よりもはるかに多かった。 午前12時、海風が吹き込んでくると共に全く減ることのなかった客入りは昼時になるとさらにその数を増してきた。 午後1時過ぎ、朝、真夏が言っていた通り空が少し曇り、海が荒れ出した。海からあがる人が増えるにつれて空には分厚い雲がかかり、小雨が降り出した。 そしてついに午後1時半、本格的に雨が降りだし強い風が吹き荒れていた。 10分後、若い男性によって事故は知らせられた。通報を受けて警察は5分とかからずにやってきたが、勢いを増して降り注ぐ雨と吹き荒れる風によって捜索を行うことは難しかった。
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