最終日

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最終日

翌日の朝、西村沙織の遺体は発見された。死因は溺死だった。浜辺に広げられたブルーシートの上に横倒された遺体の前で竹花美咲と成本翔は頭を地面に埋めるように膝をつき全身を震わせて泣いていた。 しばらくしてヘリコプターがやってくると西村沙織の遺体を東京の家族のもとへ運んでいった。2人はヘリコプターが見えなくなるまでその場で立ち尽くし、やがて支えあうようにして立ち去っていった。 海の家に戻るとそこには西条真夏が道を遮るように立っていた。 「今、私の中に最悪の推理が成り立っています。少し聞いてください。」 感情のこもっていない声で彼女はそう言うと俺を席に招いた。こんなことがあったわけで勿論今日は海の家はクローズとなっており店内はガラガラである。 「推理ってなに、俺は今人の死を受けてとても悲しいんだけど」 机に視線を落とすようにして真夏から自然に目線を逸らす。正直恐ろしい。心臓の高鳴りを抑えきることができない。彼女がこれから口にするであろうことを正面から受けきる勇気はない。 「嘘ですね。今のお兄さんから感じられる感情は恐怖とわずかな達成感。今朝、美咲さんと顔を合わせました。彼女の雰囲気はあなたと似たような感じでした。けれど、彼女の場合そこに恐怖はなかった。確かな達成感、それだけでした。実行したのは彼女、あなたはなにかしら間接的に関わった、ですよね」 一切声色を変えずに真夏はそう述べた。 「そんなわけないだろ」 俺は一言そう言ってその場から逃げるように立ち去った。 その後俺はオーナーにバイトを辞めさせてもらうようにお願いしてその日のうちに東京へ帰った。
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