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目が覚めては人ごみに囲まれ、身動きが取れず、何もできないままに眠りにつく。 そして目が覚めたかと思ったら、再び同じ光景。 その繰り返し。 あれからどれくらいの時間が経っただろうか。 2年?いや、3年? 「どうでもいいか…そんなこと」 終わりの見えないこの日々の中でいつしか時を数えるのをやめてしまった。 虚ろな目で周囲を見渡す。 周りの人間は飽きもせず、同じ姿勢で立ち続けている。 「ははははっ」 このなんとも滑稽で無機質な光景に思わず笑いがこみ上げる。 「はははははっ。はははっ。ははっ…。 もう…いい。」 笑う気力は失せ、力なくうなだれる。 「もうやめてくれ。終わらせてくれ。 俺を……死なせてくれ…。」 そう呟くと、瞳からは一筋の雫が頬を伝って流れ落ちた。
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