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「おー、須和と神野じゃん。何してんの」   降ってきた声に顔を上げると、同じクラスの村瀬直樹が屈託無い笑顔でこちらを見下ろしている。  いつも人の輪の中心にいて、持ち前の明るさと人懐こさがそのまま顔に出ているような奴だ。「陽」のオーラがすごく眩しい。  神野が興味無さそうにコーラを啜っているから、イヤホンを外すと僕が代わりに答えた。 「ちょっとね……。暇だったから時間つぶしてた」 「そっか。このあと俺らカラオケ行くけど、暇ならお前らも来る?」 「俺はパス」  秒殺で断る神野に、僕の方が固まってしまう。 「お前はそう言うと思った。須和は?」  特に気にする様子もなく、村瀬は僕に視線を向けた。 こんな時一言行かないと言えば済むのに、断り方をあれこれ考えてしまう自分が情けない。 「えーと……」 「あ。須和もパス」  神野が代わりに素っ気なく答える。  「なんだそりゃ」と村瀬は可笑しそうに笑うけど、僕は焦りと気まずさのあまり変な汗が出そうだった。 「ごめん。誘ってくれてありがとう」 「あはは、全然いいよ。じゃあな」  村瀬は軽く手をあげると、入り口で待っていた集団と一緒に店を出ていった。
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