Why done it

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Why done it

時雨ときずなはどこへ行くのでもなく、校舎内をブラブラと歩いていた。 「せんぱーい、犯人の見当はつきましたかー。」 感情がいっさいこもっていない声で、きずながそう尋ねた。ふわぁ、と欠伸をして目をこする様子から、どうやらきずなは調査に飽きてきたようだ。 時雨はそんなきずなをまあまあ、と窘めながら自分の考えを話す。 「まぁ、犯人は十中八九、飼育委員関係の人間だよね。」 「ですよねー。」 「例の手作りネックレスは飼育委員しか持っていないって言っていたしね。これだけで犯人候補は絞れる。」 時雨の言葉にきずなはえー、と不満をもらした。 「それってもしかして、飼育委員全員に『お前が犯人か』って聞くってことですかー。」 全身で面倒臭いオーラを出す、きずなの言葉を時雨は慈母のように微笑みながら否定する。 「違うよ。きずなちゃん はWhy done it (ホワイダニット) って知ってる? 」 突然、時雨が発した聞き慣れない外国語にきずなは首を傾げながらも答える。 「一応知ってますよー。ミステリー用語で、『何故、犯行を行ったか』って意味ですよねー。」 そう、と時雨は満足気に頷き、話し始める。 「犯行を行った理由、まぁ動機だね。これを考えれば犯人はすぐ見つかるかもよ。」 「いやいや、犯行時間は深夜とかですよー。学校の敷地内に入れないじゃないですかー。まずそこから考えないとですよー。」 きずなはWhy done it(動機)から考えることを否定したが、時雨はふふん、と得意気に笑って言った。 「わざわざ侵入しなくてもいいんだよ。」 「と、言うとー?」 「学校に居残れば(・・・・)いいんだよ。結構バレないんだよね。ちなみにソースは僕。」 サラッと問題児的な発言をする時雨に、きずなは(兎人のときほどではないにしろ)ドン引きしていた。 「うわーせんぱい、幻滅しましたー。まぁ別に幻滅するほど尊敬してるわけじゃないですけどねー。」 「まあまあ。でもこれでWhy done it を考えれるだろう。」 時雨はニヤリと笑った。いつもの微笑みではなく、悪童のような笑みだった。 「犯人はもうじき分かる。」
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