調査

2/6
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「失礼しまーす。」 「失礼します。」 きずなは無表情で、時雨はニコニコ微笑みながら職員室のドアを開けた。 すると職員室が少しざわざわと騒がしくなった。天才(問題児)たちが入ってきたのだから当然だろう。 「来栖さんに齋藤くん、どうしたの?」 二人の対応をしたのは、若い女性教師だった。ミディアムボブに揃えた髪に黒縁の眼鏡。顔立ちは整っているが、全体的に地味な印象を与える女性だった。 彼女の名前は園原(そのはら)純玲(すみれ)。飼育委員会の顧問である。 「園原先生、調査があるので鍵貸してくださーい。」 きずなが棒読みで頼むと、園原は苦笑いをしながら答えた。 「はーい。来栖さんはもっとやる気出してこうよ。」 そう言い、自分の机に向かって行った。 しかし、 「あ、あれ?ない!ヤバいヤバい!!」 と言いながら、園原は自分の机周辺をあさっていた。 「ごめん二人とも!鍵無くしちゃった…」 園原は申し訳なさそうに二人のほうにを向き、頭を下げた。 するときずなが口を開いた。 「いや、あのー園原先生。スカートのポケットの鍵はなんですか?兎小屋ってタグがついてるんですけどー。」 来栖が指摘すると、園原は一瞬ポカーンとして顔を赤くした。 「そうだった!ポケットに入れてた!ごめんね、最近寝てなくてちょっとボーとしてたの。」 そう言い園原は鍵をきずなに渡した。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!