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「失礼しまーす。」
「失礼します。」
きずなは無表情で、時雨はニコニコ微笑みながら職員室のドアを開けた。
すると職員室が少しざわざわと騒がしくなった。天才たちが入ってきたのだから当然だろう。
「来栖さんに齋藤くん、どうしたの?」
二人の対応をしたのは、若い女性教師だった。ミディアムボブに揃えた髪に黒縁の眼鏡。顔立ちは整っているが、全体的に地味な印象を与える女性だった。
彼女の名前は園原純玲。飼育委員会の顧問である。
「園原先生、調査があるので鍵貸してくださーい。」
きずなが棒読みで頼むと、園原は苦笑いをしながら答えた。
「はーい。来栖さんはもっとやる気出してこうよ。」
そう言い、自分の机に向かって行った。
しかし、
「あ、あれ?ない!ヤバいヤバい!!」
と言いながら、園原は自分の机周辺をあさっていた。
「ごめん二人とも!鍵無くしちゃった…」
園原は申し訳なさそうに二人のほうにを向き、頭を下げた。
するときずなが口を開いた。
「いや、あのー園原先生。スカートのポケットの鍵はなんですか?兎小屋ってタグがついてるんですけどー。」
来栖が指摘すると、園原は一瞬ポカーンとして顔を赤くした。
「そうだった!ポケットに入れてた!ごめんね、最近寝てなくてちょっとボーとしてたの。」
そう言い園原は鍵をきずなに渡した。
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