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「というか、普通これ一番最初に思いつきませんかー。」
そう、きずなが棒読み無表情で呟いた。このもっともな意見に時雨は、
「まぁ、一番最後に入ったからといって、犯人ってわけではないからね。」
微笑みながらきずなに返した。
「というか、誰なんですかー?一番最後に入った人間。」
きずなの問いに時雨はそれなら、といった様子で答える。
「それは僕も分かんないけど、知ってそうなあてならあるよ。飼育委員長に聞けばいいんだよ。」
時雨の発言にきずなは、呆れた様子で問う。
「飼育委員長ですかー。いくら委員長でも分からないと思いまーす。」
時雨はその問いに苦笑いで答える。
「よく聞いてね。飼育委員は特殊でね。まず委員のほとんどが女子。そして委員長は女の子大好きで、女子のことならなんでも覚えられる。」
「それがどーしたんですかー。」
何言ってんだこいつ、という顔できずなは時雨の顔を見た。時雨は若干、遠い目をしながら言葉をつないだ。
「飼育委員といえば兎の餌やりだろう。そして餌やりは当番制。」
「あ、そういうことですねー。」
きずなは何か察したようだ。
「そう。女子の当番だったら飼育委員長は絶対覚えてる。」
「じゃあ、飼育委員長のところに行きますかー。」
きずながそう言うと、時雨は遠い目を通り越した、死んだ魚のような目で答えた。
「出来れば行きたくないけどしょうがない。飼育委員長は多分、3年2組にいると思うよ。」
「はーい。というか、せんぱいがそんな人にたいして嫌悪感もつなんて珍しいですねー。ほら、せんぱいって人に興味とかなさそうだし。」
「きずなちゃんはまた僕をサイコパス扱いして。まぁ、飼育委員長は嫌いじゃないんだけどいろいろ面倒なんだよね。」
はぁ、とため息をつきながら時雨はそう言った。
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