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死体が埋まってたってさ。
「死体が埋まってたってさ。ほら、あそこの大きな木の下」
思わずアイスをくわえたまま、話しかけてきた駄菓子屋のおばちゃんの方へ振り向いた。彼女が指をさす先には、小さな公園がある場所。
ここからだと住宅街に囲まれて公園は見えないけれど、一軒家よりも高い大きな木の枝葉はよく見えた。
自然が少ないこの住宅街では、ちょっとした目印みたいな木だ。僕が物心ついた時には既にあったから、随分と長生きになる。
「近いのに物騒だねえ……。白骨死体だって。いつから埋まってたんだろうね?」
木造建築の駄菓子屋。外見もかなりボロボロ。
今時駄菓子屋なんてどんどん姿を消しつつあるのに、未だおばちゃん一人で営んでいる。彼女曰く、生涯現役らしい。嫁ぎ先の家業だったと聞いた。
それを自分の代で終わらせるのは寂しいからと、彼女は粘っている。
近くにスーパーはあるが、幸いにも僕の他にも利用する客はいるみたいで、ちょっと安心している。
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