死体が埋まってたってさ。

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 いつも買うソーダー味の氷菓子。ソーダーの爽やかさと、中のかき氷のようなジャリジャリが口の中を冷たくする。  何が良かったのかは分からない。こんな棒アイス、どこでも買えるものだ。当たり付きでたまに得するって位かな。  ただ学校帰りに自転車を停めて、駄菓子屋の前のベンチで座る時間が僕にとってはかけがえのないものだった。  棒アイスに無心で齧りつきながら、おばちゃんを見上げる。 「あんたも高校生だろう?気になる女の子はいるのかい?」  アイスを食べる口が一瞬、止まった。  まさかこんな話を振られるなんて思ってもみなかったから、内心動揺した。思春期真っ只中の高校生男子だ。好きな女の子くらい勿論いる。 「やっぱりいるのかい?あたしも女学生時代はモテたもんでね。彼氏くらいいたもんさ。――ま、結局その人とは結婚はしなかったけどね」  今日はやけに饒舌だ。  僕の顔をまじまじと見て、酷く上機嫌に語る。完全に彼女のペースだった。 「高校生時代に恋愛はしとくもんだよ!死んだ旦那の事は勿論好きだったけど、女学生時代の恋愛とはやっぱり違ったねえ……。親も世間もお金も何にも気にしない、あたしと彼氏だけの世界だったさ」
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