さよなら

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「それで、私の親戚という人は…まだ家を離れることはできないんですか?」  基樹は顔をあげると眼鏡を整えて静かに頷いた。代利子はなんだか疲れてしまいため息を吐いてしまった。 「亡くなったお祖父さんが七星さんを勘当したことで、七星さんも家族と縁を切っていましたが…七星さんも亡くなったこと、そして七星さんの子供が一人になってしまったことを知ると、お祖母さんがあなたを引き取りたいと……七星さんが切ってしまった縁、もう一度結ばせてほしいと……」  切ってしまった縁、もう一度、なんとも都合が良い言葉が並ぶと代利子は下を向いてしまった。しかし基樹は優しく言葉を続ける。 「だけど、優先するのは本吉さんの気持ちです。もちろん東京(こちら)に残るのであればサポートをさせていただきます……ただ…」  一呼吸おいて、基樹はまっすぐ代利子を見つめて伝える。 「村の者、神々は、あなたを待ってます」  基樹の真剣な眼差しが、どこか温かく、懐かしく感じた。  代利子は基樹にもらった広告にもう一度目をやる。 _天国に一番近い場所 「お父さん……お母さん……」  代利子は震え、涙を流した。田中はそっと代利子に寄り添う。
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