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3
「ほら、もうこんなに濡らして」
アーモンド型の瞳に顔をのぞき込まれ、
「ぃやッ……」
私は切なく目をそらした。
ラブホテルに置かれたペアソファ、私は護の腕の中にいた。
捲り上げられたスカートの下で、彼の手がストッキングとショーツの中に潜り込んでいる。カットソーの下ではブラがずらされ、服の上から散々苛められた乳首が痛いほど立ち上がっていた。
「ぁ、ダメ……」
意地悪く動く指先に、ビクリと体を震わせた。
「ダメなの?」
意地悪く、護が聞いた。
私はなにも答えられず、ただ顔を伏せるだけだった。
「お尻、上げなよ」
言われて腰を上げた。ストッキングとショーツが相次いで引き下ろされる。
どうしてこんなことになってしまったのだろうと、私は思った。
バーのカウンターで指を絡ませながら、護はたくさんの後悔の言葉を口にした。
「ずっと美帆のことを忘れたことはない」と。
「俺のことを本当に分かってくれたのは、美帆だけだ」と。
それがうわべだけの言葉であることなど、私には分かっていた。
護が嘘をついたとは言わない。きっとあの場では本気でそう思っていたのだろう。ただ、それが彼の本心であるかどうかは別だ。護とはそういう人なのだ。そんなことは、三年も前にいやと言うほど思い知らされている。
なのに私はうなずいてしまった。
「もっと静かな場所で話さないか」
甘く囁く彼の言葉に。
「ぁ……」
護は、下着を失った私の両脚を大きく広げさせ、本格的にそこを愛撫し始めた。
彼の指は、昔よりももっと意地悪で、巧みに焦らしながら私の体を煽り立てていく。じっくりと外側で感じさせたあと、私の中に指を埋めてきた。鈎のように折り曲げた指先が、私の感じる場所を探している。
「あぁッ」
私の体を知り尽くした彼の指は、簡単にそこを探し当てた。
「美帆って、大人になったね」
答える余裕などない私に、彼は話しかけてきた。
「さっき、最初に見たときに思ったんだ。前よりもっと女っぽくなった」
「ぁ、ぃやッ……」
私は、ただ首を振って答えた。
そんな様子を眺めながら、護は私を追い詰めていく。
やがて言った。
「この辺で、とりあえず一度いっておこうか」
こともなげに告げるその口調は、まるで私をいかせるなど、指先ひとつでどうにでもできるのだと言わんばかりに聞こえた。
そして、その言葉通り、私は呆気なくいかされた。
誰かの指でイクなんて、この三年間なかったことだ。
その後、交互にシャワーを浴びたあと、ベッドに場所を移して立て続けに抱かれた。
向かい合わせに抱き合ったり、並んで寝そべって片足だけ上げさせられたり、四つん這いになってお尻を突き出させられたりと、護はさまざまな体位を私に求めてきた。私は、求められるがままの格好で彼を受け入れた。そして、目眩くような快感と興奮の中で啜り泣き、あげくは、彼の体にまたがり自分から腰を使いさえした。
繰り返し絶頂が訪れた。いっても、いっても、貪欲なこの体は満足することなくさらに次を求めていた。
「相変わらず、エッチなカラダしてるよな」
護は、そんな酷い言葉を私に投げかけてきた。
彼はなにも分かっていない。
私がこれほどまでに感じてしまうのは、相手が護だからだ。意地悪で、身勝手で、まるで玩具で遊ぶように女を抱く護のセックス。そんな彼のセックスでこそ、私は我を忘れ、自分でも信じられないほど乱れてしまう。
もちろん、陽樹さんに抱かれるときにだって感じないわけじゃない。彼はいつも、とても優しく抱いてくれるし、甘い言葉でうっとりと幸せな気分にさせてくれる。
でも、それだけなのだ。
陽樹さんの腕の中で、私は、一度として我を忘れて声を上げたことがなかった。私の側から彼を求めることなどなかったし、なにより、彼とのセックスでは、私はイクことができなかった。
「ああッ!またッ……、ぃくのッ……、いっちゃうッ!」
護にまたがりながら、私は激しく腰を使い、いっぱいに体を反り返らせた。
横たわる彼のアーモンド型の瞳が見つめる中、私はまた、アクメに達した。
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