チカクカビン

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チカクカビン

「あっ」 少し眉をひそめてストローから口を離す。 「どうした陸。アイスコーヒーが冷たい?知覚過敏とかなの」 「ちげーよ。ちょっと氷が当たっただけだ」 「大丈夫か陸。知覚過敏って言うのはエナメル質の奥の象牙質に」 「うるせえよ、大河黙れ。ちょっと冷たかっただけなんだから、お前も飲んでみろよ」 そう言って陸が大河に冷えて汗をかいているグラスを渡す。 「ん。よこして陸」 ストローに大河が唇を合わせる。薄く開いた唇で。 『大河』 「どうだ大河、氷が多くないか」 「いやアイスコーヒーなんだからこんなもんだろう?」 大河が笑顔で陸にグラスを返す。 「そうか」 陸はグラスを受け取りそのまま視線を落とす。 ストローの先の大河が口をつけたところを静かに見つめる。 『大河。お前には知られてはいけない絶対に』
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