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そして
夜のアマゾンは、きれいな星だった。檻の中から、空をのぞむ。
アーサーは、自分の子のように可愛がった。月日は流れ、発情期を迎えた狼少女は、ただ、陰部をまさぐる。癖があるわけではないが、本能には、打ち勝てなかった。う、う、と唸り、威嚇する姿は、決して哀れではない。ただ育った環境が違うだけ。アーサーは、あえて自由を好む狼少女を無理には躾なかった。はぁはぁ。指差しをゆっくり動かしてみる。よだれを垂らす姿は、愛を感じる、と、人間の言葉でいうが、人間も、理性を抑え難いときがある。アーサーは、おじいさん。戯れたがる、狼少女は、初めて、エクスタシーを感じた。アーサーと繋がりを終えると、役目を終えたように、ベッドで寝そべった。やがて、一人の女の子が産まれる。アーサーは、喜びまた、悲しんだ。なぜなら、子どもを育てる時間が無いからだ。あぁ
わしに時間があれば。可愛いいのう。我が子は、普通の少女時代を送りたがった。
もう、12になる我が子をやっと落ちついて眺めることができる。暖かなひととき。狼少女というと、アーサーにぴったりとくっついている。子どもはと、いうと、ごく普通の女の子だった。
翌年、アーサーが論文を書いていると、いきなり発作にみまわれ、天にめされた。優しい寝顔。狼少女は、そう思うと、本能か、涙が出てきた。いないんだ、もう。
この世からいなくなると、家じゅうが沈んでみえた。自分も、自分の子も、幸せに過ごせますように。ただそう願って、狼少女は、息をひきとった。アーサーと一緒に子育てできたから、悔いは無かった。
残された少女は、さようなら、お父さま、さようなら、お母さん。そういうと、そっと家を後にする。全ての物よ。ありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいだった。
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