学園のヘタレ

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 レイトが振り向くと、そこに立っていたのは美しい女性だった。レイトより少し身長は低いが女性の中で言えば決して低い訳ではない。ウェーブのかかった金髪に純白のローブを着ており、彼女の美しさを更に際立たせている。 「龍神族だな?」 「よくご存知ですね。では、私があなたの前に姿を表現した理由も?」 「魔法壁を壊そうとしたからか?」 「ええ。この私が創り出した魔法壁を簡単に壊してしまうと分かったから、姿を現さざるを得ませんでした。でもあなたなら別に壊さずとも直接会ってお話ししても問題ありませんでしたね」 「あなたなら?」  彼女は、まるで自分の事を知っているような口振りでそう言った。 「あんた……」 「勿論、知っていますよ。魔王を一人で倒したレイト・リースさん」  この瞬間、レイトの心臓が跳ね上がった。明らかに自分が動揺しているのが分かる。何故、この目の前にいる人物が初対面である筈の自分を知っているのか。それどころか、彼女はレイトルバーンの人間しか知らない筈の情報まで持っている。 「何故、知っているのかと表情から見て取れますね。とんでもない強さをしていると言っても、中身はまだ子供だという事なのでしょうか?」 「あんた、どこでその情報を掴んだ? 場合によっちゃあ……」 「私を殺しますか?」 「何?」 「自分の所属するギルドの団員以外、知らない筈の情報を持っている私を殺しますか?」  どうやら彼女は勘違いしているらしい。と言うよりも、自分はそんな簡単に誰かを殺すように見えるのかとレイトは思った。 「あのなぁ……」 「あなたがやろうと思えば簡単な話ですね。全力で応戦したとしても無理でしょうし、逃げるにしても絶対に逃げ切れる自信がありません」 「人の話を聞け! 俺に女を殺すような趣味はねえし、逃げるのを追いかけるようなストーカー気質な趣味もねえよ!」  普段、女性と言えばルーナくらいしか話さないレイト。面倒であると同時に、ここまで人の話を聞かないものかと思った。 「知ってますよ。あなたは女性に手をあげた事がないという事も。普段行動を共にしている綺麗な女性がいる事もね?」 「俺の事なら何でもお見通しって事か?」 「何でも、というのは語弊がありますね。ある程度の事であればと訂正させてもらいます」  そので、魔王を倒したという事を知られてはレイトにとってはとんでもない事であった。
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