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いくら考えても解決策が浮かんでこないレイトは、髪の毛を掻き毟ると空を見上げて息を吐いた。そして、腰に両手を当てて何度か唸る。
「……レイトさん?」
意味不明な行動をするレイトに対して、メリルは少し引き気味に声を掛ける。
「とりあえず、あんたは悪さをしたわけじゃねえって事は分かった。それよりも、こんな面倒な物が出て来た事が何よりも問題だ」
ドラゴンを倒すだけなら、どれだけ楽だっただろうかとレイトは思う。
「てなわけで、あんたは重要な参考人なわけだ。悪魔の代償の出処は分からねえだろうけど、あんたがこれを拾っちまった以上はこのままにしておけねえからな」
「私にどうしろ……と?」
「簡単な話だ。あんたには、レイトルバーンに来てもらって暫く身柄を拘束させてもらう。でも、安心してくれ。あんたに何かするってわけじゃねえ。それだけは俺が保障するから」
正直、レイトとしては彼女をここに置いても問題無いと考えている。だが、万が一という事も有り得ない話ではない。使用後ではあるにしても、それを使った何者かが回収しに来る可能性も否定出来ないのだ。
「私としては構いませんが、私のドラゴン達は……」
「そこら辺に関しては、あんたに護衛でもつけてドラゴンの様子を見に来る事は出来る筈だ。それも俺が約束する。ドラゴンはあんたの言う事しか聞かないだろ?」
「助かります」
「これから仲間の団員と合流して、事の顛末をまたあんたの口から説明して欲しいんだけど、問題ないよな?」
「ええ。あの町の方々にはご迷惑をおかけしましたし、安心させるという意味でもちゃんと説明致します」
メリルからの了解も得た所で、レイトはルーナ達の待つコザックへと引き返すのだった。
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