学園のヘタレ

20/22

4646人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 コザックに戻ると、何故か女性を連れ帰って来たレイトにルーナ達は奇怪な目を向ける。特にルーナは「またか!」と言いたげな目をしている。 「レイトさん、その女性は……?」  先に沈黙を破ったのはエクシア。一人で龍神族を探しに行った筈のレイトが、戻って来たかと思いきや綺麗な女性を連れているのだ。当たり前と言えば当たり前の質問だろう。 「龍神族だよ」 「「え!?」」  さも当たり前かのように言ったレイトに、エクシアもダンテも同じ反応を見せる。ルーナも驚きはしているが、それよりも女性を連れて来た事に対しての怒りの方が勝っているようで目を細める。 「何で睨むんだよ」 「別に睨んでませんが?」  何やら棘のある言い方をするルーナ。この時、エクシアだけは何かを察したようで苦笑いを浮かべる。 「お初にお目にかかります。私は龍神族長老の孫娘でメリルと申します。私のドラゴン達が、この町にご迷惑をおかけしました事を深く謝罪致します」  架空の種族だと思っていた龍神族が目の前にいて、更に謝罪の弁を述べているという状況に、エクシアもダンテも上手く飲み込めずにあたふたとするしか無かった。 「ここに連れて来られたという事は、他にも何かあるんですよね?」 「それはメリルから説明があるから」 「メリル……? そんな呼び捨てにするような間柄になっていたんですね?」 「いや、そうじゃねえって。名前以外で何て呼んだら良いんだよ」  本来の目的とは全く違う内容で責められる羽目になっているレイトは、メリルをこの場に連れて来るんじゃなかったと後悔した。 「とりあえず、説明してやってくれ……」 「良いんですか?」 「何がだ?」 「いえ、問題無いのであれば」  メリルの言っているのは、ルーナをこのまま放置して話を進めても問題ないのかという意味である。レイトもそれは分かっているが、あえてここは話を進める事を選んだのだ。  そして、メリルから説明を受けたレイト以外の三人だったが、予想外の事態に深刻そうな表情を浮かべた。 「まず、その悪魔の代償という黒魔法についてだが……」  ダンテとエクシアは、悪魔の代償というものの存在を知らなかった。 「あんたらも黒魔法は知ってるとは思う。でも、あんたらの認識してる黒魔法って何だ?」 「自分の命を代償に呪いをかけるという認識だ」 「そうだ。ただの黒魔法なら、その認識で間違いない。でも、この悪魔の代償はノーリスクで相手に呪いをかけられる代物なんだよ」 「どういう事だ!?」  ダンテが声を荒げるのも無理は無い。元々黒魔法とは禁忌であり、使用者が自身の命を代償として相手の命を奪うというものだ。しかし、場合によっては支払う代償次第で相手にかけられる呪いも変化する。  例えば自分の足を代償とした場合には、その代償として払った部位の呪いを掛けられるという事である。  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4646人が本棚に入れています
本棚に追加