学園のヘタレ

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 黒魔法を使用する際に、支払う筈の代償を支払う事なく、ノーリスクで簡単に黒魔法を扱えるのは躊躇なく人を殺せてしまうという事に繋がる。なんとしてもそれを防ぐ為に奔走しているレイトだが、その出処を掴めずにいた。 「だが、そんな物が出回っているなど我々は知らなかった」 「そうだろうな。これは俺がうちのギルド以外に公表してなかったもんだからな」  無闇に情報を色々な場所で公表してしまうと、誰がその情報を耳に入れてしまうか分からない。それゆえに、それを悪用する為に探す輩が現れてしまう可能性が高い。だからこそ、レイトは公表する事を許さなかった。 「レイト様……」 「もう、隠しても仕方ねえからな。あんたら、一応言っておくけど人間はくれよな」  選んでとは、信用出来る人間にこの情報を言ってくれという意味である。先の話で、エレメンタルシャードの信用出来る人間がいないという事がレイトとしては気になっていた。  この二人に情報を渡す事自体も正直迷っていた部分はあった。それでも彼らに情報を渡したのは、勘違いにせよ勝てる見込みの無いドラゴンに立ち向かおうとした行動に対しての対価のつもりであった。 「分かっている。我々も馬鹿じゃない。この情報は、少なくとも我がギルドの人間には口外するつもりはない」 「分かってくれてんなら良い。とりあえず、俺らはギルドに戻ってこの件について報告する。あんたらは?」  町を危険に晒していたと思われていたドラゴンの危険性が無くなった以上、この場に留まる必要はレイト達にはない。ダンテとエクシアは、この件について自分のギルドに応援要請も出していたわけではない。しかし、報告はする必要がある。 「正直迷っている所だ」 「ダンテさん、私達は……」 「別に良いんじゃねえか? あんたらは報告しなくても」 「レイト様、それはギルドの規則違反になってしまいます。彼らがもし報告しなかった場合に、後から何かをきっかけにそれが表に出た時は彼らが……」 「その時は、うちに来たらいいだろ」  また始まった、とルーナはため息が出た。レイトは簡単にそう言うが、ギルド間の引き抜きはご法度である。勿論ギルドに在籍している本人の意思によっては無い話ではないが、そこには金銭での補償などの様々な問題が出て来るゆえに簡単ではないのだ。
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