定例会とこれから

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 ルーナが備え付けの時計に目を向けると、既に数時間が経過していた。時計から二人に視線を向け直すと、仰向けになって肩で息をする二人の姿があった。我ながら、よく目を背けなかったものだと感心する。 「もう……立てねえ……」 「……俺もだ……」  どちらかが勝ったかといえば、ルーナの見立てでは引き分けであった。お互いに当たれば倒れ、立ち上がり、また拳を交えて倒れ立ち上がる。そんな事を何度も繰り返していたのだ。 「俺も歳を取ったって事なのかねえ……」  仰向けになっていたグロンが、ふとそんな事を言った。実は、身体強化なしで打ち合いにきたレイトになら勝てると思っていたのだ。しかし、勝つどころか危うく負けるところだった。  認めたくはないが、年齢と共に身体のキレが落ちているように感じた。 「へっ……その歳で、まだまだ現役でいられちゃ困るってんだよ……」  レイトとしては、危うく負ける所だった。これがもう少しグロンが若ければ、引き分けに持ち込む事すら難しかっただろうと思う。 「こんなになるまで殴り合いをするなんて、私にはやっぱり理解できません」  既に感覚すらなくなっていたレイトの手を持ち上げて、治癒魔法をかけるルーナ。 「外傷は治せても、骨に異常があったら治せませんからね。とりあえず、出血だけは止めておきます。あとはご自身で医務室に行くなりして下さい」  二人を交互に見てため息をつくと、レイトと同じようにグロンにも治癒魔法をかけた。終わってみて思うのは、やはり彼らの強さというのは世界に点在するギルドの中でも上位に位置すると思った。  他のギルドをまじまじと見た事は無いが、レイトに至っては世界最強である事は揺るぎない。そんな彼と魔法無しとはいえ、殴り合いを繰り広げる事の出来るグロンの強さも疑う余地もないだろう。 (性格的には難あり……ですけど……)  強いが問題を起こす確率の高い二人。依頼を問題無く終わらせる事の方が珍しいかも知れない。勿論、請け負う依頼自体も高難易度の物が多いのは間違いないのだが。 「認めてやるよ」 「ああ?」 「お前のその覚悟を認めてやる。だがな、危ねえ橋は一人で渡るな。お前の親父も、イザベラのババアも、俺も、ルーナも、他の奴らも、話くれえは聞いてやる事は出来る筈だ。最善を探すんだ、いいな?」 「……分かった」  ここは大人しく年長者の言った事に素直に首を縦に振る。レイトの返事を聞くと、グロンは満足そうに立ち上がると訓練所から出て行った。
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