定例会

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定例会

 本部に戻ったレイト達を待ち構えていたのは、厳しい表情を浮かべるシルヴァだった。報告をしなければならない為、シルヴァがいる執務室に入ると、ルーナが先に念話で報告していた内容を聞いていた彼はレイトを見る。 「黒狼、ヴィンセントから報告は受けている。任務は遂行出来なかったようだな」 「あぁ、さすがにこんなもんが出回ってるってなっちまったら俺一人でどうにか出来るような問題じゃねえよ」  レイトは懐からメリルから預かった悪魔の代償(デーモン・プライス)を出して見せた。シルヴァも本物を見るのは初めてのようで、食い入るように見ていた。 「で、そこのお嬢さん二人は……」 「龍神族長老の娘、メリルと申します」 「私は、エレメントシャードに所属しているエクシアといいます」 「ジジイ、とりあえずこの二人はうちで預かる事にした。メリルは一応、依頼の参考人として。んで、エクシアはうちに入れるからさ」 「その龍神族の長老の娘については私も分かるんだが、エレメントシャードについては……」 ルーナの思っていた通り、ギルドマスターとしての職務についているシルヴァは、彼女がエレメントシャードに現に所属しているという事は相手先と事を構える覚悟が必要となってくると分かっているのだ。そうなると、簡単に首を縦に振ることが出来ないのだ。 「やはり私は……」 「ジジイ、まさかとは思うけど。断ったりしねえよな?」 「いや、断るつもりはないが。何事にも準備が必要なんだよ。人的補償に金とか色々とな」 「いらねえよ、そんなもん。俺が一人で話つけてきてやるよ」  この時、シルヴァとルーナだけはそれだけは止めてくれと心から思った。レイト単騎でエレメントシャードに出向けば、エレメントシャードが壊滅しかねない。特に今のエレメントシャードでは彼とは確実に折り合いがつく訳がない。 「いや、待て。分かった。お前はとりあえず何もしないでくれ。私が明日エレメントシャードに出向く。ルーナ……じゃないヴィンセント、明日お前も私と共にエレメントシャードについて来てくれ」 「かしこまりました」  シルヴァは基本的に公私混同はしない人間である。ゆえに姪であるルーナに対してギルド内ではヴィンセントと呼ぶのだ。そんな彼が、今間違いで名を呼んでしまったという事はそれだけ焦っている事を意味する。しかし、それはエレメントシャードに対してでは無く、自分が動かねば何かをやりかねないレイトに対してである。 「ジジイ、迷惑かけるけどよろしく頼むわ」  とてもじゃないが、誰からどう見ても謝る人間の態度ではなかった。
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