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ルーナが自分に反省していると、レイトが前から歩いてやって来た。多分、彼は自分を探していたのだろう。表情を見るに、ある程度は反省しているのは分かった。
「よう」
「シルヴァ様にはしっかり報告されたのですね」
釘をしっかり刺しておいたおかげか、どうやら彼はちゃんとシルヴァに報告したようだ。本当であればそんな事せずとも毎回しっかり報告してほしいものだが……。
「そういや、今日は定例会だったよな?」
「良く覚えていらっしゃいましたね」
先程ルーナに怒られた手前、レイトは自分からあえてこの話題を出した。それは子供がこれ以上怒られたくないといったように。
「まあな。あいつらも、そろそろ俺の顔が恋しくなっただろうと思ってさ」
「普段からちゃんと出席して下さればよろしいのです。面倒がって定例会に出ないなんて、普通ならあり得ない事ですよ。いつもシルヴァ様がどれだけ頭を抱えてられるのか……」
「そんな大事かねえ?」
「定例会はただの顔合わせじゃないです。周知しておかないといけない事、他にも様々な事があります。特に今はこういう状況ですから、あなたは特に出席しなければならないと思いますよ?」
レイトは現在、悪魔の代償の出所を探している。となれば、必然的に情報というのはいつ何時も必要としているのだ。しかし、現状として悪魔の代償を認知しているギルドがレイトルバーン。そして、先のコザックで出会った二人のみ。
「んなもん、定例会があろうがなかろうが、俺に誰かしらは報せてくれるよ」
実際問題として、その悪魔の代償に対応出来る人間は今のところレイトのみ。だが、彼も対抗策を持っているわけではない。単純に彼より能力が高い者がいないというだけである。
「私が言いたいのは、レイト様だけがそれを一人で抱える必要があるのかという事です」
下手を打てば、レイトであろうとも死と直結する黒魔法。いくら世界最強であったとしても彼の命を易々と消し去る事が可能なのだ。
「俺以外、誰も対応出来ねえよ」
「だとしても……!」
「誰も死なせたくねえんだ。これは俺が撒いた種だからさ。俺が刈り取らねえで、誰が刈り取るんだって事。ジジイでもお前でも、ましてや他の奴らにもこんな危ない事させるわけにはいかねえ」
ルーナは何も言えなかった。確かに彼の言っていることは正しい。悪魔の代償に対応出来ない人間がレイトの負担を減らす事など出来ようもない。
「そう……ですね」
これが精一杯の返答だった。
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