森の護り人

1/10
3278人が本棚に入れています
本棚に追加
/170

森の護り人

 彼らに連れられ、レイトはやっと彼らの言った里までやってくる事が出来た。こんな場所が存在したのかと未だに目の前に広がる光景に驚きを隠せない。そして、彼らは自分達を〝森の(まも)り人〟だという。エルフである事には間違いないらしいのだが、森エルフと呼ばれる種族らしい。耳が普通のエルフよりも発達しているのは森の声を聞くためなのだと言っていた。 「お若いの、先に言っておかねばならぬ事があるのだが……」 「この里の事は他言無用って事か?」 「理解が早くて助かるわい。別に隠しているわけではないのだが、かと言って我々はあまり他の種族とは交流をするつもりもない」 「助けてもらったからな。それくらいは守るさ。お前もここまでありがとうな」  里に着くまでずっと肩を貸してくれていたスーにもお礼を言う。フェイはスーにそのまま彼を里の診療所に連れて行くように言うと、他のジーン含めた仲間達と共にここで別れた。 「そういえば、君の名前聞いてなかったね」 「俺はレイトだ」 「レイト、良い名前だね。君は何処から来たの?」 「俺はレイトルバーンってギルドで働いてるんだ。昨日はたまたま私用でポートハーバーに向かう予定だったんだけど、ちょっと問題が発生しちまったんだ」  ギルド、レイトルバーン、と単語を聞いた時、スーの目が明らかに輝いているのが分かった。 「レイトはギルドで働いてるの!?」 「ん、あぁ……まぁな」 「レイトルバーンって私も聞いたことある。確か、魔王を倒したって凄い有名なギルドだよね!?」  目を輝かせてレイトに尋ねるスー。目の前にいるこの少年が、その魔王を討ち滅ぼした少年だと知ったらどんな反応をするのだろうか。しかし、レイトはこれを彼女に教えるつもりはない。 「よく知ってるな」 「私もいつかギルドで働きたいって思ってたんだ。でも、兄にもお爺ちゃんもお前じゃ無理だって言われてさ」  スーが言う兄とは先程のジーンの事で、お爺ちゃんとはフェイの事である。 「無理って言われたからって諦めるのか?」 「私はこの森の護り人だからね。自分の生きたい道にはなかなか進めないの。さ、着いたよ。服脱いで!」 「ちょ!? 待て!」 「え? 何?」  レイトの服に手を掛けたスー。それに驚きながら離れようとレイトはもがいた。そんな彼に奇怪な目を向けている。 「服を脱ぐ必要はないだろ」 「服あったら包帯も何も巻けないでしょ? それにそんな汚い服で私の家に上げられないし。それにこの里は、今結界が張ってあって少しなら治癒魔法を使えるけど効果があまりないの。服の上からじゃ効果が余計薄いから脱いでって言ってんの!」 「やめてえええ!」  有無言わさないようにレイトの服にまた手を掛けたスー。診療所にレイトの悲痛な叫び声が木霊した。
/170

最初のコメントを投稿しよう!