盗撮犯に出会った話

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盗撮犯に出会った話

書店にて その日は駅で用事があった為、少し早めに向かって構内の書店に立ち寄りました。 私が文庫本を物色中、おっちゃんが通路の真ん中に立っていました。不審に思い、よく見てみると、そのおっちゃんは立ち読みしている女子高生のスカートの中に少し、足を入れていたのです。 足元を見ると、黒いキャンバス地のスニーカーの一部が切られ、チラッと蛍光灯の光を反射していました。カメラのレンズでした。 しばらくそいつの後をつけました。その男はスカートの女性を見つけては足を伸ばしていたのです。 止めなければ……と思っても、足も手も動きませんでした。恐怖で少し震えていたと思います。 相手は恐らく40後半から50代のハゲかけのおぅさんです。しかも身長は小柄でした。 それでも体は動かなかったのです。向こうは既に犯罪者、逆上してなにが起きるかわかりませんでした。 そこで、私は近くの店員さんに伝えることにしました。自分で捕まえるよりも、慣れた対応が取れるだろうと考えたのです。本音を言うと、ただ怖かったのですが……。店員さんに伝えた時の声も震えてたんじゃないかと思うほど恐怖を感じていました。店員さんに伝えてからは、思いのほか早くけりがつきました。 店員さんが盗撮行為を確認後、偉そうな男の人に伝えていました。その後、偉そうな男の人が盗撮犯に声をかけ、裏に消えていきました。 私の行動が正しかったのかどうかは分かりません。もっと早く止められたかもと、今でも思います。 そしてなにより犯罪に遭遇することの恐怖を身近に感じました。実際に会うのとテレビ等で見るとは全然違うことを知りました。今回私は犯罪行為を『近くで見ただけの人』でしたが、本当に怖かったのです。 その事があり私は思いました。被害者はもっと怖いだろう、たぶん抵抗なんて出来ないだろう、と。 痴漢、強姦、虐待、etc…色々な問題がテレビで毎日のように流れています。たぶん、今回私が出会ったことのように、テレビに取り上げられないものもたくさんあると思います。 「もっと拒否できる」「合意したと思った」「声を出して助けを呼ぶべきだ」こんな言葉は、行為を見てもいない第三者や加害者だから言える事だと思います。盗撮という犯罪を見かけただけであれだけの恐怖を感じたのに、動けなかったのに。その当事者が抵抗できるはずがないんです。 年や性別なんて関係ありません。怖いんです。 「もっと抵抗すれば良いじゃないか」「そんな服着てるからだ」 もう、こんなこと言う人は大っ嫌いです。 盗撮犯に出会ってから小1時間ほど、恐怖が消えなかったのです。 恐らく、いえ、確実にこれからもこのような犯罪は起こります。 その時に大切なのは被害者、加害者の問題としない事だと思います。被害者には、第三者が必要なのです。 もちろん圧倒的に悪いのは加害者です。しかし被害者はそこから動けません、声も出せません。被害者から見ればそれはもう災害なのではないでしょうか。 災害に遭っている人を見つけたら手を差し伸べてきた日本人です。私も感じたように、見かけた時は恐ろしいと思います。 しかし、自分だけで何とかしようとも思わないで下さい。警察や周りの第三者に伝えるだけでも被害者を救う事ができます。 出会わない事が一番ですが、もし、私と同じような状況になった人のために、書かせていただきました。長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。
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