それは、冷ややかな

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「いいや。スイカと男の子は友達で、男の子はひんやりとしたスイカの中で甘い夢を見るの。そしてずっとこのままでいたいね、って仲良くスイカと話しているのだけれど、そのスイカは実はアイスクリームで出来ていて溶けて消えてしまう。それで男の子は助かるんだけどもう二度とスイカは帰って来ない」 「・・・・・・悲しい話なんだね」  彼女にしては珍しく悲しいお話だ。いつもなら、ピンク色のプレーリードッグやら水玉模様のフェネックやらパーマをかけたウーパールーパーが助けに来てくれたり、機械で造られた魔法少女やら全身をフリルで包み込んだような王子様が救ってくれていたはずだった。 「どう?変・・・・・・だったかな」  こちらの顔色を窺うかのように、彼女は切れ長な目を細めて笑う。 「変じゃない。感動的ですごく良い話だったよ。聞かせてくれて、ありがとう」  そんな彼女の頭をぽんぽんと撫でる。普段はクールな印象の彼女が、えへへ、と満足げに笑った。彼女が僕だけに見せてくれる表情。これほどまでに愛おしいと思えるものが、他にこの世にあるだろうか。つられて僕もニコニコと笑ってしまう。 「あともう一つ考えたのが、雪兎と蝉が恋をする話」 「雪兎と、蝉?」
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