それは、冷ややかな

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 そこに立っていたのは、高校を卒業してから会っていなかった幼馴染のユイトだった。  ユイトは僕と違って頭が良く、卒業後は医者に成るべく東京に出て大学に通っていたはずだった。もう卒業してから暫く会っていなかったので、久しぶりに会う友人の来訪に驚きと喜びが隠せなかった。 「ユイト!どうしたんだよ、急に・・・わざわざ東京から来たのか?」  ユイトは優しく微笑みながら、手にぶら下げている高級そうな薄紫色の紙袋を僕に手渡した。 「どうしたも何も、今日は命日だろ?ああ、ちなみにその中身はフルーツゼリーだよ。レイさん、イチゴ好きだったよな?」  保冷材入れてきたからまだひんやりして美味いぞ、とユイトが続ける。  僕は、ユイトが何を言っているか分からなくて、フルーツゼリーの入った紙袋を持ったまま困惑してしまう。 「お、おい」 「急に来たのはごめんな。ちょっと最近忙しくてさ。・・・でもお盆だし、今年もレイさんに手を合わせに来なきゃと思って。少しお邪魔させてくれよ」
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