298人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
to be continued
彼は動くし、口は悪いもののよく喋るし、むくれるし、笑う。
彼は頭の中で考えるし、行動して、それを生み出す。
彼から生まれた曲は、まだ彼のことを知りもしなかった俺の中で芽吹き、長い時間をかけて俺と彼とを引き合わせた。
彼の美しい指先は、俺の口を通して歌を生み出す。
俺だけじゃない。彼の指先はやがて、それを知る町中の人達の口からも歌を生み出させるだろう。
これまで祈ったことはあまりないけれど。
神様。
どうか彼の歩む道が、暖かな光で満ち溢れたものになりますように。
『十一月に入って、クリスマスの劇の練習が始まりました。今年はみんなで聖歌の合唱もすることになり、教室は毎日素敵な歌が響いています。子供達の歌声を皆様に届けられるよう、僕達も日々祈っています。』
──押川新生幼稚園だより・栗原音弥
サンダルフォンの指先 前編・終
最初のコメントを投稿しよう!