始まりの人、始まりの鐘

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「お前、つまんないね。もういいや、殺す」  パーカーが銃を構える手に力を込めるのがわかった。  冷たい風が頬を撫でる。  その風に吹かれて、本坪鈴が微かに音を立てる。  地面についてる手が砂を掴み、そのじゃりじゃりした感触を味わっている。  寒いのに、汗を掻いていた。  死ぬのだ。犬井は自分でも驚くほど静かに、そして深く、そう悟った。
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