色気の足りない告白を

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色気の足りない告白を

「……ちょっといいか?」 そう言って庭先にやって来た隣人。 途端色めきたつ3つ子達。 彼は大きな身体に綺麗な顔のハーフ。いつも距離が近くて、こっちの心臓がそろそろ持たない。 「メダカの事?」 努めて穏やかに返すが心拍数やばい。 ……僕はこの男に恋をしているから。 こんなにイケメンだもの、仕方ない。そう開き直らなきゃ死んでしまうくらいの片想いだ。 「いいや。その」 珍しく歯切れが悪い。 もしかして海水魚の飼育に挑戦したい、とかかな。 そんなことを考えていると。 「うわっ、冷たッ!」 突然背中がひんやりした。濡れている。 振り返ると水鉄砲を持った妹達がニヤついていた。 「コラッ! ………っ!?」 叱りつけようと声を上げた時、背中を何か大きくて温かいモノが覆ってきた。 「え、と……弘樹?」 気がつけば彼に後ろから抱きしめられていた。 少し荒い吐息が首筋にかかり、僅かに回された手が震えている。 「……六雄、愛してる」 「!!」 祈るように呟かれたその言葉は僕の耳朶を擽り、同じく身体を震わせるのには充分だった。 (『アイシテル』? え、ど、どういう……) 心臓の音が煩くて、思考がままならない。 アイシテルってなんだっけ。僕も『愛してる』けど、もしかして彼の『愛してる』は違う『愛してる』で………え、そもそもこれ、日本語? 色々と混乱する僕の口から飛び出た言葉は一言。 「……僕も、愛してる、よ?」 だった。
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