禁断の狂愛(2)新たな刺激

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 冷えた野外に暖かな息を吐くと温度差で真っ白に見える。  高校3年の秋頃。寒空の下で大学の進学に向けて受験シーズンの真っ最中だ。  友達の華帆(かほ)に受験勉強をしよう、と誘われてしまい、私達は今放課後の図書室にいる。  にしても、中間や期末試験の期間でも自分自身の趣味の話をしてくる華帆にしては、珍しい誘いだった。  そろそろ、現実を見て受験勉強に本腰入れたのだろうか。毎度勉強より趣味に命を注ぎ込む華帆の将来を心配していた身とは、なんだか嬉しい限りだ。  侑子の真正面に華帆は座っている。向かい合わった2人は、志望校の過去問を解いていた。  華帆の得意分野は理系で、反対に侑子は文系が得意だったりする。お互いに苦手な分野は教え合い、受験勉強を捗らせた。  キリのいい所で軽く背伸びをする侑子は、チラッと一瞬だけ華帆の様子を見る。頭を抱えながらも問題と睨めっこしていた。  短期集中型である華帆の良い部分でもあり、数分後にはお手上げ状態にもなる。
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