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図書室は、静かに過ごせる場所でもある。冬になる前から暖房が効いており、勉強するには十分過ぎる程過ごしやすかった。
そんな室内で、図書室の入口にあるドアの方からガラガラと開く音がした。
華帆と侑子は、先生が来たのかと一瞬ヒヤッとした。すぐさまバッグの中から出している私物を隠す華帆。
けれど侑子の目に映る、見つめた先には男子生徒がいた。
「侑子〜、帰るぞ〜」
部活指定のバッグを肩に乗せて、制服姿で現れた男子生徒。そのまま教科書などが入ったバッグを床に置く。
「陽翔くん」
侑子は嬉しさのあまり、椅子を勢いよく下げてしまった。床に響いた音が図書室にいる生徒達の耳に入ったらしく一斉にこちらを見てくる。
ここが図書室だということも忘れて、恋人である陽翔を想う。ちゃんと周りの生徒達に軽く頭を下げた。
陽翔が来た時点で、侑子も帰る支度をするつもりだった。だから当たり前に真正面にいる華帆も誘う。
「華帆、帰ろう?」
すると華帆が机越しに侑子へ耳打ちする。
「何言ってるの、恋人同士の邪魔なんて出来ないから大丈夫」と。
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