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潮風の街で
対人恐怖症って、御存知ですか?
その日以来、極度の精神状態に追いつめられてしまうと、発作が起きてしまいます。
……………………そんな時に思い出した唄。
『ふるさとの訛なつかし停車場の
………人ごみの中にそを聞きに行く』
辛い時こそ、人目を気にせず、人ごみの中にその身を委ねてみようかしら?
そんな風に思える様になったワタクシ。
渋谷の町のスクランブル交差点を人ごみに紛れて行き交う度に思います。世の中のどれくらいの人が、哀しみや苦しみを背負って生き続けているのかしら?
ワタクシが今でも屈辱に思う理由。
それは………。
ワタクシの見てくれよりも美しい相手なら構いません。美しさは罪と申しますから。ワタクシは代わりに罰を受けて殺されても構わない。でも、ワタクシの見てくれよりも、更に不細工な女に犯された事が悔しくて、悔しくて、悔しくて………。
これって、人の持つ苦しみなのかしら………。
お陰様で、ワタクシには人に伝えられる名言が出来ましてよ。
『死んだら負けよ。負けたら死ぬよ。』
やっぱり、強く生きてかなきゃダメですわよね?
それから数年後………。
潮風に煽られる街。寂れた温泉街に似た街並みに佇んであるスナックで、当たり前の様に働いているそんなワタクシの姿がそこにありました。
《 完 》
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